平成26年度補正予算対WFP「ブルキナファソに於けるマリ難民への食糧支援及び強靱性の確保,食糧安全保障,栄養不良との戦い」合同現地視察
2015年11月11日,平成26年度補正予算対WFP「ブルキナファソに於けるマリ難民への食糧支援及び強靱性の確保,食糧安全保障,栄養不良との戦い」の現地合同視察が行われ,ブルキナファソ政府を代表して,フランソワ・ロンポ農業・水資源・衛生・食糧安全保障大臣,アメデ・プロスペル・ジゲムデ保健大臣及びハッサン・サワドゴ北地方知事等が,WFPからジャン・シャルル・デイWFPブルキナファソ事務所代表が,日本政府を代表して二石大使が参加し,ブルキナファソ北西部ヤテンガ県ラウア市(貯水池),ウラ市(保健社会向上センター),タンガエ市(農村開発研修団体)を訪問しました。
ブルキナファソはサハラ砂漠南端に位置する内陸国で,国土の大部分が乾燥しており,ブルキナファソにおける農業生産は不安定な気候の影響を強く受けています。また,2013年以降,マリ北部を占拠したイスラム過激派による戦禍から逃れブルキナファソ国内の難民キャンプで暮らすマリ難民の数は増加し,現在でも3万人を超えています(2015年6月時点)。
このようななか,マリ難民への食糧支援,飢餓の軽減,栄養状態の改善,強靱性の確保を目的として,WFPを通じて本支援が実施されることは,2013年6月に開催された第5回アフリカ開発会議(TICAD V)において,日本政府が推進を表明した,対アフリカ支援策の基本理念である「人間の安全保障」の推進に貢献することが期待されます。
最初に,視察団一行は,ラウラ市内の貯水池(3000m2)を訪問しました。本貯水池は,ラウラ市の伝統的首長がラウラ市の開発委員会を通じて要請したものであり,本事業の「強靭性強化」活動の一環として採用され,現地非営利団体とのパートナーシップのもとに伝統的な技術を用い全て手作業で建設されました。本貯水池に溜まった雨水を利用することにより,農村部の小規模農家による農業の生産率が向上するのみならず,一年中作物を作れるようになり,ひいては,農家の収入向上,近隣の脆弱な家庭の食糧安全保障に貢献することが期待されます。
二石大使は,このような住民発のイニシアティブを高く評価し,周辺住民を激励しました。
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貯水池(ラウラ市)の様子。 説明を受けるロンポ農業・水資源・衛生・食糧安全保障大臣(左端)及び二石大使(手前から二人目)。 貯水池の手前には日本の支援であることを示す看板,説明ボードが掲げられている。 |
貯水池(ラウラ市)の様子。 貯水池の面積は3000m2に及ぶ。今年は雨季の開始が遅れたものの,十分な降水量があったため,溜められている水の量は十分であった。 |
一行は続いて,本事業によって支援しているウラ市内保健社会向上センターを訪問しました。同センターは,近隣の7つの村をカバーしており,2010年から栄養不良の5歳以下の子ども及び妊産婦に対して栄養剤の配給等の支援を行っています。2015年には,栄養不良に苦しむ5歳以下の子ども105人及び妊産婦41名が同センターで支援を受け,81%の確率で栄養状態が改善しました。
二石大使は,栄養改善の結果を高く評価するとともに,保健関係者に対して継続した活動を行っていくよう奨励しました。
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ウラ市の保健社会向上センターにて,栄養不良の子供の体重測定を見学する二石大使(左端)及びデイWFPブルキナファソ事務所代表 |
小さな子供を抱える母親に栄養剤を手渡す二石大使 |
最後に,一行は,75の小団体から構成される2000年に設立された農民組織であるタンガエ市内の農村開発研修団体(AFDR)を訪問しました。同団体の,約2700名の構成員のうち68%が女性であり,本事業の「前進のための食糧購買(P4P)」活動の一環として,同地方の農民組織の一つである農村開発研修団体(AFDR)に対し研修等の支援を行い,収穫後の作物の保管方法や市場へのアクセス等の知識を伝播することで,彼らの強靭性を強化するとともに,収入の向上を図っています。
二石大使は,ニエベ(大豆の一種)の仕分けや研修受講等,AFDRで活動する市民の多くが女性であることを確認し,本事業を女性の自立支援にも資する活動であると評価するとともに,女性達に対して,今後一層の社会進出を期待する旨伝え,激励しました。
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研修を受ける農村開発研修団体(AFDR)の女性メンバーたち |
【案件概要】
・事業名:平成26年度補正予算対WFP「ブルキナファソに於けるマリ難民への食糧支援及び強靱性の確保,食糧安全保障,栄養不良との戦い」
・供与額:500万米ドル