ブルキナファソ月報(2023年5月)
令和5年6月12日
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【内政】・4日、トラオレ暫定大統領のインタビューが国営ラジオ・テレビ放送(RTB)で報じられ、治安情勢、国家総動員令の発動、現暫定政権に対する不安定化の企てと警告、ボランティア兵(VDP)、人権等、様々なトピックに言及があった。
・26日、トラオレ暫定大統領は、ファダングルマを訪問。同軍事基地を訪問し、兵士を激励した他、ファダングルマ大学を訪問。学生達にテロリストの背景にある目的を正しく理解する必要があると述べ、その背後にある帝国主義がブルキナの「金」を搾取していると説明した。
・30日、キエレム首相は、暫定立法議会(ALT)で国情に関する演説を行い、治安、人道危機への対処、国家の再構築等に関するビジョンを語った。
【外政・協力】
・3日から4日にかけて、クリバリ(Kassoum COULIBALY)国防大臣はワガドゥグ市内で市民社会及び労働組合、メディア関係者、外交団・国際機関、宗教・伝統的指導者との会合をそれぞれ開催し、ブルキナファソ治安情勢を紹介した。その中で、外国の陰謀や領空侵犯に惑わされることなく、自国による手段と努力でテロとの戦いを完遂させることが重要であると強調した。また、メディア関係者に対しては、フェイクニュースを拡散させることなく、プロ意識に基づいた正しい情報を発信するよう求めた。
・9日から15日にかけて、キエレム首相は、ベネズエラを友好実務訪問した。首相は、マドーゥロ大統領や外相ら要人を表敬し、二国間協力関係を強化した。滞在中、二国間外交関係20周年を祝福する式典も開催された。
・10日、アクフォ=アド・ガーナ大統領はブルキナファソを友好実務訪問し、トラオレ暫定大統領と治安危機に直面する地域横断的な問題を提起し、2か国共通のテーマについて意見交換を行った。
・26日、ジューヌ・アフリック(Jeune Afrique)のバズム(Mohamed BAZOUM)ニジェール大統領インタビュー記事にて、バズム大統領はブルキナの対テロ対策について、正面から批判。翌27日、ブルキナファソ政府報道官は同批判に苦言を呈した。
・29日、ナカナボ(Aboubakar NACANABO)経済大臣とファム(Maimouna Mbow FAM)当地世銀代表は、2件のプロジェクトと1件のプログラムに対する計2,760億FCFAの融資契約に署名した。
【治安】
・11日、ブークル・デュ・ムフン(Boucle du Mouhoun)地方ムフン県(Mouhoun)のユル(Youlou)村が武装集団の襲撃を受け、33人の住民が死亡した。
・18日、ヤテンガ(Yatenga)県のザネ(Zanna)村等が襲撃されVDP及び市民28人が殺害された。
・19日付、当地メディアは、7年前にジボ(Djibo)でイスラム過激派に拉致されたオーストラリア人のケネス・エリオット (Kenneth ELLIOTT)医師が解放された旨報じた。
【内政】
・1日、キエレム首相はメーデーに集った労働組合を前に、5万人のボランティア兵(VDP)に対し、武器、弾薬、軍服等の装備を強化したことを発表した。
・9日、暫定立法議会(ALT)において、外交安全委員会が提出した治安関連法案が採択された。
・12日、ALTは3月24日に採択された1か月間の非常事態宣言(L’État d’urgence)を6か月延長する法案を可決した。
・16日、ソメ(Nandy SOME/DIALLO)人道活動大臣は、1960年から現在に至るまでのブルキナファソにおける社会政治的危機の犠牲者に対する補償(約100億FCFA)のための省庁間委員会の設置式を開催した。
・24日、閣議において「国家愛国奉仕機関」の設立を決定する法案が採択された。同機関の設立は、1993年12月15日に採択された法律を改正したもので、同機関により市民と軍に対する訓練をより組織化することが可能となる。
【外政・協力】
・2日、暫定政府は、カルマ(Karma)村の殺りくをジェノサイドと表現する声明を発出したエンバロ(Umaro Sissoco EMBALLO)ギニアビサウ大統領(ECOWAS議長)を非難した。
・4日、米国アフリカ開発基金(USADF)とその技術パートナーである企業開発エンジニアリング・コンサルティング機構(ICDE)は、4つの協同組合と中小企業主導の5つのビジネスプロジェクトに関する助成契約に署名した。署名式典には、クラーク(Sandra CLARK)米国大使とディコ(Amadou DICKO)農業大臣付畜産担当大臣が出席し、同助成金は7億FCFA以上と見積もられている。
・2日から5日にかけて、ウエドラオゴ(Denis OUEDRAOGO)農業大臣は、モロッコのメクネス(Meknes)で開催された第15回国際農業博覧会に出席し、ブルキナファソの農業分野における基盤プロジェクトに対する資金提供を訴えた。
・8日、サルティコフ(Alexey SALTYKOV)ロシア大使はルアンバ外務大臣を表敬し、特に安全保障に関する二国間協力関係について意見交換を行った。同大使は、ロシアがブルキナファソの国防に関する要求に応じる準備がある旨発言した。
・同日、シャン(Lu SHAN)中国大使はルアンバ外務大臣を表敬し、プラグマティックな二国間関係を発展させたいという中国の意向を伝えた。ブルキナファソ側は軍事協力の強化を歓迎した。
・9日、中国は治安省に対し、治安機材(サイバー犯罪対策用のデジタル機器(8400万円)やALOBA製バイク28台(1800万円)等、計1億200万FCFA)を供与した。供与式典には、シャン中国大使とズングラナ治安大臣が出席した。
・10日、当地EU代表部は声明をもって、ブルキナファソの選挙プロセスを支援するため、1,500万ユーロを拠出することを発表した。また同日、「EUの日」の式典が開催され、フェター(Wolfram VETTER)EU代大使はスピーチの中で、テロに苦しむブルキナファソ国民を支援するため、2つの主要プロジェクトに対し1億3,300万ユーロを追加拠出することを発表した。
・11日、デュセイ(Robert DUSSEY)トーゴ外務大臣はブルキナファソを友好実務訪問し、ルアンバ外務大臣を始め、トラオレ暫定大統領を表敬した。
・12日、「アフリカ自由貿易圏(la ZLECAf)実施の加速化」というテーマの下、アフリカ・デーの60周年記念式典がワガドゥグ市内で開催された。
・15日から16日にかけて、ジュネーブで開催された第6回国際移住機関(IOM)臨時特別総会にルアンバ外務大臣が出席した。
・15日付、暫定政府はコミュニケを発出し、国連人権高等弁務官事務所が発表したマリのムラ(Moura)の事案に関する報告書の内容を非難し、マリを擁護した。
・16日、シャン中国大使は、サヴァドゴ(Boubakar SAVADOGO)スポーツ大臣を往訪し、二か国間のスポーツ協力の強化について意見交換を行った他、中国が支援する「8月4日スタジアム」の完成図を披露した。
・17日、閣議において、在イラン・ブルキナファソ大使館の再開を決定するデクレが採択された。
・22日、第58回「開発のための研修・研究アフリカセンター(CAFRAD)」の行政評議会が開催され、ブルキナファソは執行委員会の委員としてガンビア及びニジェールとともに選出された。
・24日、ブルキナファソ・マリ協力合同大委員会の第10回会合に向けた準備会合が、双方の外務次官の共同議長の下、ワガドゥグで開催された。
・25日、UNDPはドイツとEUの支援を受け、サヘル地方と東部地方の警察及び国家憲兵隊の治安対策能力を強化するため、ピックアップトラック8台とバイク121台を含む治安機材(3億1,900万FCFA超)を治安省に対して供与した。
・27日、中国大使館は、中国・ブルキナファソ国交回復5周年の記念式典を開催し、キエレム首相、ルアンバ外務大臣、ブグマALT議長他、各閣僚や各国大使が出席した。
・29日、トラオレ暫定大統領は再選を果たしたエルドアン(Recep Tayyip ERDOGAN)トルコ大統領に祝意を表した。
・30日、ドン=メロ(Ahoua DON MELLO)BRICSアライアンス西部・中部アフリカ代表がブルキナファソを訪問し、トラオレ暫定大統領始め、ルアンバ外務大臣を表敬し、意見交換を行った。BRICSは今後、ブルキナファソに拠点を設置する意向との由。
【経済・社会・文化】
・2日の午後から、ソーシャルメディア上でモーゴ=ナーバ(伝統的首長)の宮殿に対する脅威を伝えるメッセージが拡散され、市民に対して宮殿を守るよう呼びかけられた。これに対し暫定政府は、公共の秩序を乱すこうした噂を信じることなく、冷静に行動するよう求めた。
・2日付、当地ネットニュースは、タパルコ(Taparko)鉱山のロシアのノルゴルド(Nordgold)社保有株がマリ有限公社であるスカイゴールド・リソース(Skygold Resources)社に譲渡されたことを報じた。
・9日、「世界国際赤十字デー(5月8日)」を記念し、国際赤十字社(CICR)の代表団はワガドゥグ市内で記者会見を開催の上、国際人道法の尊重を呼びかけた。
・8日、テヘランで開催された第15回イランEXPO2023に出席したポダ(Serges PODA)商業大臣は、イラン外相を表敬し、両国共通の関心事項について意見交換を行った。同EXPOにはブルキナファソの民間企業14社の代表団が参加した。
・10日、ブルキナファソ音楽の国際進出を推進するため、第21回クンデ(Kunde)・エディションの開会式がワガドゥグで開催され、ウエドラオゴ文化大臣が出席した。同イベントは2日間にわたって開催され、ブルキナファソのミュージシャンが集い、ネットワーキングや意見交換を行った。
・16日、アフリカ開発銀行(AfDB)は経済省とともに2023年から2025年にかけて実施する5,000億FCFA規模の21プロジェクトについて協議する会合をワガドゥグ市内で開催した。
・23日、モロッコの首都ラバト近郊で「アフリカ文化大臣会合」が開催され、文化・クリエイティブ産業に対する投資をテーマにパネルディスカッションが行われた。同会合にはウエドラオゴ(Jean Emmanuel OUEDRAOGO)文化大臣が出席した。
・24日から26日まで西アフリカビジネス開発フォーラム(Africallia)2023が開催され、25日、ワガドゥグ市内で開催された開会式にキエレム首相が出席した。同フォーラムでは、世界各国から集ったビジネスマンらと意見交換が行われた。
・28日、ワガドゥグ市内でファソ・カップの決勝戦(SALITAS FC vs EFO)が開催され、EFOが3-0で優勝を飾りアフリカ・カップ進出を決めた。決勝戦には、トラオレ暫定大統領の他、元カメルーン代表サミュエル・エトー氏も出席した。同氏は29日、トラオレ暫定大統領を表敬し、CAN2023に向けサッカー・ブルキナファソ代表に期待を寄せた。
【治安】
・4日、スーダンから退避した28人のブルキナファソ人がワガドゥグ空港に到着し、ソメ(Nandy SOME/DIALLO)人道活動大臣及びトラオレ(Karamoko Jean Marie TRAORE)外務大臣付地域協力担当大臣に迎えられた。
・6日、市民社会(OSC)はワガドゥグ市内のナシオン広場(Place de la Nation)等においてトラオレ暫定大統領に対する支持を表明する集会を開催した。集会では、反帝国主義、反フランス、反EU、反ECOWAS、反NATO等のプラカードが掲げられた。
・8日、軍は、バム(Bam)県ロロ(Rollo)で行われたテロリスト掃討作戦において、街を襲撃した約40人のテロリストを空爆により無力化した。
・12日付、当地メディアは、当地における国内避難民(IDP)の数が2,062,534人である旨報じた。
・14日、4月1日にニジェールとブルキナファソ国境付近で武装グループに拉致されたモロッコ人自転車旅行者2人が解放された。
・18日付、当地メディアは、FDSが東部(Est)地方、中東部地方(Centre-est)、北部地方(Nord)、中北部地方(Centre-nord)において複数のテロリストを無力化し、物資を回収した旨報じた。
・22日、FDSは、ビトゥ(Bittou)のサウェンガ(Sawenga)の森において、約100人のテロリストを空爆により無力化した。
・27日、VDPとFDSにエスコートされヌナ(Nouna)からデドゥグ(Dedougou)に向かっていた車列がレクイ(Lekuy)武装集団の襲撃を受け、少なくとも25人の兵士が死亡した。
・28日、ムフン(Mouhoun)県ボンドクイ(Bondokuy)から20km離れたワカラ(Ouakara)村を武装集団が襲撃し、民間人約30人が死亡した。
【日本との関係】
・12日、加藤大使はバモゴ(Abdou Aziz BAMOGO)高等報道評議会(Conseil Superieur de la Communication:CSC)議長を表敬し、同機関の活動について意見交換を行うとともに、日本の見返り資金で建設したワガドゥグの事務所の建設状況を視察した。