技術協力プロジェクト「初等教育・理数科現職教員研修改善プロジェクト(SMASE)第2フェーズ」理数科コンテスト授賞式典
2015年6月30日,ワガドゥグ市内小学校にて,国民教育・識字省主催による「初等教育・理数科現職教員研修改善プロジェクト(SMASE)第2フェーズ」にかかる理数科コンテスト授賞式典が行われました。本式典には,ブルキナファソ政府からヤンボ・ポール・ディアブガ国民教育・識字省次官,エマ・キンダ/ラメン国民教育・識字省教育開発研究局長,コンスタンス・キンダ/タプソバ国民教育・識字省SMASE国内調整員,国民教育・識字省地方局長,教員養成校(ENEP)校長,視学官,教員等,また,日本政府を代表して二石大使及び森下JICAブルキナファソ事務所長が参加しました。
ブルキナファソの初等教育では,近年教育の機会拡大に重点的に取り組んできた成果が見られますが,1教室あたりの生徒数が過多であること,教員の能力不足,教育行政官の不十分な支援体制,生徒の親の教育への関与度の低さといった理由から,依然として教育の質に課題があり,教育計画10か年計画「基礎教育戦略的プログラム(PDSEB:2011~2020)」においても,初等教育の質の強化は重点課題の1つとなっています。
こうした問題を解決するために,日本は2008年から2011年までの3年間,SMASE第1フェーズを実施し,対象4県において中央,地方の視学官や教員分科会代表者を育成し,教員分科会におけるASEI-PDSI教授法(当館注:ケニアにおける同様の技術プロジェクトにてモデル化された教授法)の普及を通じた現職教員研修の強化を支援し,教室での授業実践の改善を行ってきました。現在,SMASE第1フェーズで得た結果を全国に普及するためにSMASE第2フェーズ(2012-2015年)を実施しています。
今回実施された理数科コンテストは,2010年に,SMASEの枠組みにより最良の教材を奨励するために開始されたものであり,本年は,(1)教材作成(対象:教員,学校,視学官)(2)教材作成及び指導案実践(対象:教員,学校,視学官),(3)小学5-6学年の児童を対象にした理数科試験,の3部門の成績優秀者が表彰されました。
式典において,二石大使は,教育は万人にとり基本的な権利,平和かつ安定した世界を築くための基礎であり,教育なしには継続した安定,発展は成し得ないと説明し,これらの観点から日本は基礎教育へのアクセス,基礎教育の質に重点を置いている点を強調しました。さらに,二石大使は,指導の質向上を目的とした本コンテストのイニシアチブを高く評価し,受賞者を称賛するとともに,彼らに対して,これからも優れた「知的移転者」であるよう弛まぬ努力を求めました。
また,ディアブガ国民教育・識字省次官は,日本に対して,SMASEを全国に普及するための第2フェーズを実施した旨感謝するとともに,教員が理論だけに偏らず,活気のある生徒参加型の授業を行えるよう知的,技術的,教育的な方法を伝えているSMASEを高く評価しました。
さらに,キンダSMASE調整員からは,ブルキナファソの教育システムをより効率的にするために,日本が行ってきた様々な努力に対して感謝の意が表されました。また,同調整員は,教育は万人にとって基本的な権利であると述べ,良質の教育を追及するSMASEのアプローチは,児童の学習に非常に有効であると述べました。
【案件概要】
・事業名:技術協力「初等教育・理数科現職教員研修改善プロジェクト(SMASE)第2フェーズ」
式典中,スピーチを行う二石大使(写真左から2番目) 理数科試験にて優秀な成績を納めた児童
(小学5-6年生)を表彰する二石大使
式典後,教員が作成した教材を視察する式典 受賞した理数科教材は,全て手作りであり,
参加者。写真左から,森下JICAブルキナファソ 教員達の工夫,そして教育への想いが詰まっている。
所長,二石大使,ディアブガ国民教育・識字省
次官,キンダSMASE国内調整員。